社会性の人類学的探究 トランスカルチャー状況と寛容/不寛容の機序

開設の辞

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 2010(平成22)年度から、共同利用・共同研究拠点であるAA研の中期的研究戦略の柱として,AA研内で自発的に組織された研究班=通称<基幹研究>によって展開される共同研究軸が発足しました。それに伴い、人類学系研究者が中核となり2010(平成22)年度から3年間の計画で、「人類学におけるミクローマクロ系の連関」と題する基幹研究を立ち上げました。この基幹研究においては、現代人類学におけるミクロな視点とその問題群およびマクロな視点とその問題群と言う一見対極の方向に位置する国内外の研究動向を踏まえ、地域別の研究や個別の主題に基づく臨地研究をこえた次元での、新たな概念化と理論化を目指しています。すなわち本研究では,構造とエージェンシーといった二項対立の構図をこえた地点から,身体や実践の主題をめぐるミクロ領域での研究と、広域におよぶ人やものの空間移動や生物進化のダイナミクスまでをも射程に入れたマクロな時間軸に基づく研究との接合ないし理論構築にかかわる研究成果の呈示を企図しています。このような野心的な企図が、絵に描いた餅や虻蜂取らずに終わる可能性は、決して低いとは言えません。けれども、一つの成功の裏には幾多の失敗や挫折があることに想いを致し、ここにささやかな一歩を記したいと思います。

 本サイトは、私たちのささやかな一歩をこのような問題群について思考をめぐらす多くの人びとに対してリアルタイムで伝えると共に、そのような人びとと情報と知識を双方向的に交換しまた共有するために開設されました。そのために本サイトでは、公開セミナーや各種研究会および国際ワークショップや国際シンポジウムの予定をお知らせすると共に、過去の各研究会の成果を掲載し、班員各位のエッセイや画像をも閲覧者のみなさまに随時提供してゆきます。研究会等の開催情報を確実に入手するためのメーリングリスト、みなさまからのご意見やお考えを伝えて頂くためのメールアドレスも用意いたしました。本サイトを通じて、既知のあるいは未知の各現場や各領域で思考されているみなさまと繋がることができることが、本基幹研究「人類学におけるミクロ-マクロ系の連関」に参加した班員一同の希望であると共に喜びでもあります。