社会性の人類学的探究 トランスカルチャー状況と寛容/不寛容の機序

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基幹研究「アジア・アフリカにおけるハザードに対処する『在来知』の可能性の探求-人類学におけるミクロ-マクロ系の連関2」

計画期間:2016(平成28)〜2022
代表者:西井凉子
関連所員:河合香吏,栗原浩英,外川昌彦,床呂郁哉,吉田ゆか子,河合文,高島淳(~2020),深澤秀夫(~2020),佐久間寛(2014~2019)

概要
基幹研究人類学班では2016年度から、アジア・アフリカにおけるグローバル化や近代化に伴う現代的諸問題への対処という課題をふまえ、研究テーマ「アジア・アフリカにおけるハザードに対処する『在来知』の可能性の探求」を展開する。この研究テーマは、「アジア・アフリカ地域の諸問題の正確な理解に基づく問題解決に貢献するとともに、その研究成果を国際的に発信する」というAA研の中・長期的目標に照応するものであり、現代社会の抱える喫緊の課題に対処するものである。
 グローバル化や近代化については、欧米中心的な理解では把握できないリスクやハザードが世界各地において現在進行中である。すなわち、人には御しがたい狭義の自然的災害のみならず、各種の紛争、環境変動、人口変動(限界集落問題など)、経済危機も含む、生活全体が脅威に晒される状況である。こうした状況が昂じるにつれ、理性に基づく近代的テクノロジーによって、政治・経済・社会的事象はもちろんのこと、自然現象さえも人間にとって好ましい方向にコントロールしうるとの認識が、さまざまな地域において複数の異議申し立てに直面し、それに有効な答えや対処法を提示できずにいる。
 本基幹研究では、このような硬直した事態に対応するため、それぞれの地域に根付いたやり方=「在来知」の可能性をあらためて検証することを提唱する。多くの人類学者が明らかにしてきたように、アジア・アフリカの日常生活において人々は、「在来知」を駆使して新たな現実に柔軟に対処している。しかしながら、その多様な「在来知」は個別の文脈に留め置かれ、広範な知的影響力を獲得するに至っていない。
 こうしたアジア・アフリカの「在来知」を、本基幹研究が「人類学をめぐるミクロ-マクロ系の連関」という主題のもとで整備してきた理論的・方法論的地平から捉えなおし、リスク・ハザードに対処する人類の知を統一的に構想することが本研究テーマの目的である。こうして得られた「リスク・ハザードに対処する在来知」をめぐる知見は、日本を含む世界のどこにおいても検証や適応が可能である。基幹研究に集う人類学研究者の使命とは、アジア・アフリカからの「在来知」の個別を越えた多様な状況への適応可能性に道を拓き、国内外に向けて発信し、アジア・アフリカの諸問題の解決に寄与することであるにちがいない。

基幹研究「人類学におけるミクロ-マクロ系の関連」

計画期間:2010(平成22)〜2015(平成27)年度
代表者:西井凉子
関連所員:小田淳一(2010~2012年度),河合香吏,栗原浩英(2013年度~),椎野若菜,高島淳,高知尾仁(2010~2011年度),津田浩司(2010~2011年度),床呂郁哉,深澤秀夫,錦田愛子(2010~2012年度),真島一郎(2012年度~),三尾裕子

概要
人類学はある時期まで,小規模社会のフィールドワークを活動の中心としてきた。しかし近年,上位の政治社会にあたる国民国家や「近代世界システム」をはじめ,トランスナショナルな規模にまたがる社会・文化圏,さらにはグローバルな地球環境まで視野に入れたマクロ・パースペクティヴへの関心が高まってきた。
また他方では,その対極にむかう方向性として,個々人の身体性を考察の起点とした間身体的実践,ハビトゥス,熟練と暗黙知,アフォーダンス,社会空間など,ミクロ・パースペクティヴを軸とした問題系も同時に浮上しつつある。
 こうした国内外の研究動向をまえに,人類学的思考として現在求められているのは,地域別の研究や個別の主題に基づく調査研究をこえた次元での,新たな概念化と理論化の試みである。本研究は,その点で先導的な役割をになうことを目標とする。具体的には,個人と社会,構造とエージェンシーといった二項対立の構図をこえた地点から,身体や実践の主題をめぐるミクロ領域での研究と,広域におよぶ空間移動や生物進化のダイナミクスまで射程に入れたマクロな時間軸に基づく研究との,接合ないし理論構築にかかわる研究成果の呈示を企図するものである。